第6回事業再構築補助金の採択結果から見る第7回公募の動向について

9月15日に「第6回 事業再構築補助金」の採択結果が発表されました。

事業事業再構築補助金といえば、補助金では珍しく、機械や設備に加えて建物の新築や改修費用も補助対象経費として計上できる補助金です。そのため、競争率が激しく、採択難易度が高いことで知られている補助金です。今回は、第6回事業再構築補助金の採択結果を分析し、採択のためのポイントと第7回公募の動向予測について解説します。

実は令和5年も継続される?「事業再構築補助金」の可能性

「令和5年度経済産業政策の重点」に「グリーン枠の活用やグリーン調達の取組など、中小企業等に対する脱炭素取組やグリーン分野への中小企業の事業再構築の支援を行う」という記載がることから、グリーン枠は継続される可能性が高くなっています。また、第7回事業再構築補助金から登場した「緊急対策枠」の行方も気になるところです。

事業再構築補助金の公式HP

第6回事業再構築補助金採択企業の特徴を分析

今回採択されなかった事業者にとって、気になるのが「どうすれば採択されるのか」という1点に限るのではないでしょうか。そこでいくつかの特徴を分析しました。

(応募件数15,340件、うち7,669件採択)

(事業再構築補助金事業局発表 第6回公募結果についてより抜粋)

応募件数から、建設業や製造業、卸売・小売業、宿泊業・飲食サービス業の割合が多く、そのため採択件数もこの4業種が多くなっています。ただし、採択されている業種に偏りはなく幅広い業種で採択されています。

都道府県別にみても、東京や大阪、愛知、兵庫が多く大企業の周辺に集まる中小企業が多い地域で採択されている企業が多いことが分かります。ただし業種同様、北は北海道から南は沖縄まで幅広い地域で採択されています。

そのため、地域や業種に採択・不採択が左右されることはありません。また、補助額も1,000万円から1,500万円が全体の4割を占めており、次いで1,501万円から3,000万円が3割以上を占めてます。

最も採択率の高い申請枠

これら6つの項目で、最も採択率が高かったのは最低賃金枠の85.7%、採択率が最も低かったのはグリーン成長枠で39.9%です。通常枠は45.5%という結果でした。グリーン枠は中小企業でも1億円の補助金が出る可能性があるため、審査が厳しいと想定されます。一方、最低賃金枠の採択率が高いのは、従業員に対する最低賃金要件が、他の申請枠よりも比較的達成しやすいものであり、計画が立てやすくその根拠の説明がしやすいという要因があります。

3,000万円までで多くを占めているその理由は税理士や中小企業診断士が所有している「認定経営革新等支援機関による確認書」のみで申請できますが3,000万円を超えると、金融機関からの確認書が必要になることが1つの要因です。また、全体的には税理士などの士業を利用した応募よりも、金融機関からの応募が多くなっています。これは、補助金を採択された場合、回収見込みがある融資ができるという銀行目線と、融資を受けなければ補助金受領までの資金調達に不安があるという事業者目線の利害一致があります。

また、中小企業が行うシステム開発にかかる研究費について今まで対象となる補助金はありませんでしたが、事業再構築補助金では対象となります。そのため大企業と異なる中小企業の規模であれば、事業再構築補助金は「ねらい目」といえます。

採択される事業計画書のポイントは?

採択される事業計画書にポイントはあるのでしょうか。次に挙げる内容は、第6回までで見えてきているポイントです。

  • あまり専門用語を使用しない → 採点者に専門知識があるとは限らない
  • 指示語は使用しない → 指示語がさしている内容を正しく把握してもらえない
  • 地域創生・地域密着による雇用創生 → 地域にどれだけ貢献できるか
  • 既存事業のシナジー効果 → 既存事業にもプラスになる要因であること
  • SWOT分析 → 自社の特徴を経営者が把握できているかどうか(強み・弱み・機会・要因)
  • 競合他社分析 → 自社の強豪となり得る企業はどのようなことをして売上確保をしているか 

このほか事業計画書には、補助事業が採択された場合の社内的な取り組み内容について、補助金の管理者や、プロジェクトの管理者の決定をしておかなければなりません。

補助金の原資は税金です。そのため、その補助事業をすることで「どれだけ多くの人に貢献できるか」がポイントです。

また、採択されている事業内容が「今、需要がある事業」と判断されている可能性があります。「その事業をすれば売上確保ができる可能性が高い」ということです。

過去の採択事例で、キッチンカーや半導体事業に関係する事業計画を提出すると採択されやすい傾向がありました。半導体事業は日本が取り組む国家戦略として挙げあれている事業であり、キッチンカーはコロナ禍でも飲食店ができる業態転換として注目されています。

継続される可能性がある「緊急対策要件」

緊急対策枠は「原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けたこと」が要因で売り上げが減少した場合に申請できます。年明けも引き続き物価上昇が予測されるため、継続される可能性は高いと多くのコンサルティング会社が予測しています。(実際に申請されるときに再度確認が必要です。)

もともと事業再構築補助金はコロナ禍の影響を受けた事業者が、新たな事業を展開するための軍資金を得るためのものでしたが、昨今の世界情勢を受けて内容が変わってきています。

第6回不採択でもまだ応募できる

事業再構築補助金は、不採択だった場合でも再度手直しをして次の回で採択されるケースも多いのが特徴です。チームを組んで事業計画書を作成している場合は、その事業計画書をベースに違う人に少し手直しをしてもらうと採択されることも多くあります。

今回のチャレンジで不採択でも、再チャレンジすれば採択されることもあります。

まとめ

事業再構築補助金の採択には、地域や業種で差が出ることはありません。製造業や卸売業からの申請件数が多いため、結果的に採択されている件数が多くなっています。1度不採択でも再度申請できるのが事業再構築補助金の特徴でもあります。事業再構築補助金が採択されれば、金融機関も融資しやすい傾向があるのでうまく活用することが大切です。また、事業再構築補助金のほかにも「ものづくり補助金」があります。

ものづくり補助金が不採択だった場合に、事業計画書を一部手直しすることで事業再構築補助金の事業計画書として申請できます。このように、補助金申請の事業計画書は一度しっかりしたものを作成すると、その事業計画書をベースにいろいろな補助金申請に使えます。ですから、しっかりした事業計画書を作成する習慣をつけましょう。

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